渓流釣りを始めてみたいけれど、どんな釣り方がいいか迷っている方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたいのがテンカラ釣りです。
テンカラ釣りは日本で古くから親しまれている伝統的な渓流釣りの一つで、道具がとてもシンプルなのが魅力です。ルアー釣りのように重たいタックルを持ち歩く必要もなく、エサ釣りのようにエサの準備も不要。毛バリという疑似エサを使って、美しい渓流魚との出会いを楽しむことができます。
この記事では、テンカラ釣りがなぜ初心者におすすめなのか、必要な道具や基本的な釣り方まで詳しく解説していきます。渓流釣りデビューを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
テンカラ釣りがおすすめな理由
テンカラ釣りが初心者におすすめな理由は、何といってもそのシンプルさにあります。必要な道具は竿、ライン、ハリス、毛バリの4つだけ。これだけで釣りを楽しむことができてしまいます。
従来の渓流釣りでは重いリールを使ったり、生きたエサを用意したりと準備が大変でした。しかしテンカラ釣りなら、慣れてしまえば5分もあれば釣りの準備が完了します。道具が少ないということは持ち運びも楽で、山奥の渓流まで歩いていくのも苦になりません。
また、テンカラ釣りは「投げて流す」というとてもシンプルな動作の繰り返しです。複雑なルアーアクションを覚える必要もありませんし、エサの付け替えで時間を取られることもありません。毛バリを川に落として数秒間流すだけで魚からの反応が得られるため、短時間で効率よく釣ることができます。
シンプルな道具構成で始めやすい
テンカラ釣りの道具構成は驚くほどシンプルです。他の釣りと比較してみると、その違いがよく分かります。
- テンカラ釣り: 竿、ライン、ハリス、毛バリ
- ルアー釣り: 竿、リール、ライン、リーダー、ルアー、タックルボックス
- エサ釣り: 竿、リール、ライン、仕掛け、エサ、エサ箱、クーラーボックス
道具が少ないということは、初期費用も抑えられるということです。スターターセットなら1万円程度から始められるため、まずは試してみたいという方にもぴったりです。
覚えることが少なく上達しやすい
テンカラ釣りは基本的に「キャスト(投げる)」と「ドリフト(流す)」の2つの技術を覚えれば釣りになります。ルアー釣りのように何十種類ものアクションを覚える必要はありませんし、エサ釣りのように複雑な仕掛け作りも不要です。
釣り方も分かりやすく、毛バリを投げて3秒程度流したら次のポイントへ移動。これを繰り返すだけで魚との出会いが期待できます。1日に1500〜2000回はキャストを繰り返すことになりますが、同じ動作の反復なので自然と上達していきます。
釣れる魚と楽しめる場所
テンカラ釣りで狙える魚は、主に渓流域に生息する美しい魚たちです。どんな魚が釣れるのか、そしてどんな場所で楽しめるのかを詳しく見ていきましょう。
ヤマメとアマゴが主な対象魚
テンカラ釣りの主な対象魚は、ヤマメ、アマゴ、イワナの3種類です。どの魚も渓流の宝石と呼ばれるほど美しく、釣り人を魅了してやみません。
ヤマメは体側に美しいパーマークと呼ばれる模様があり、警戒心が強いことで知られています。流れの速い瀬や淵の際を好み、動きが素早いのが特徴です。関東から北の地域でよく見られ、特に清流域では群れで回遊することもあります。
アマゴはヤマメとよく似ていますが、体側に赤い斑点があるのが特徴です。関西から西の地域に多く分布し、ヤマメよりもやや温暖な水域を好みます。食性は雑食性で、毛バリへの反応も良好です。
イワナは最も源流域に生息し、岩陰や深い淵を好みます。他の魚よりも大型になることが多く、40cmを超える個体も珍しくありません。警戒心は強いものの、一度スイッチが入ると積極的に毛バリを追ってきます。
ニジマスも管理釣り場では重要な対象魚です。外来種ですが引きが強く、初心者でも釣りやすいため練習にはもってこいです。天然のニジマスは一部の河川にも生息しており、予想外の大型に出会えることもあります。
源流域から渓流域が最適なフィールド
テンカラ釣りを楽しめる場所は、山間部の清流域です。川は一般的に源流域、渓流域、本流域の3つに分けられますが、テンカラ釣りに最適なのは源流域から渓流域です。
源流域は川幅が狭く、水深も浅めです。周囲は山に囲まれ、人の手があまり入っていない自然豊かな環境が特徴です。魚影は濃く、イワナが主な対象魚となります。ただし、アクセスが困難な場所も多く、ある程度の山歩きが必要になることもあります。
渓流域は源流域よりもやや川幅が広く、瀬と淵が交互に現れる変化に富んだ地形です。ヤマメやアマゴが多く生息し、テンカラ釣りには理想的な環境と言えます。林道沿いにアクセスポイントがあることも多く、比較的入りやすいのも魅力です。
管理釣り場も初心者には非常におすすめです。魚が放流されているため釣果が期待でき、安全に釣りを楽しむことができます。トイレや駐車場も完備されており、家族連れでも安心です。
必要な道具とセッティング
テンカラ釣りに必要な道具は本当にシンプルです。しかし、それぞれの道具には重要な役割があり、適切な選び方を知っておくことが大切です。
基本の4つの道具構成
テンカラ釣りの道具は、竿、ライン、ハリス、毛バリの4つだけです。これは数ある釣りの中でも最もシンプルなタックル構成の一つと言えるでしょう。
道具がシンプルということは、それぞれの役割がより重要になるということです。竿は毛バリを正確にポイントへ運ぶ役割を果たし、ラインは竿の動きを毛バリに伝える重要な部分です。ハリスは魚に見えにくい細い糸で、毛バリと魚をつなぐ最後の部分。そして毛バリは魚を誘う疑似エサです。
この4つの道具の組み合わせとバランスが、テンカラ釣りの釣果を大きく左右します。どれか一つでも不適切だと、思うような釣りができなくなってしまいます。
竿の選び方とおすすめ長さ
テンカラ竿は、軽い毛バリを飛ばすために作られた専用の竿を使用します。一般的な渓流竿とは設計思想が大きく異なるため、専用竿を選ぶことが重要です。
長さは釣り場の規模に合わせて選びます。一般的な渓流域では3.4〜3.8mが使いやすく、初心者には3.6m前後がおすすめです。源流域などの狭い場所では3.1〜3.4mの短い竿が扱いやすく、川幅の広い本流域では4.4m程度の長竿が有利になります。
竿の調子は6:4の胴調子か7:3の本調子のものが初心者でも投げやすいとされています。胴調子は竿全体がしなやかに曲がるため、ゆっくりとした動作でもラインが飛ばしやすくなります。本調子はより先端寄りで曲がるため、シャープなキャストが可能です。
重要なのは、軽くて疲れにくい竿を選ぶことです。テンカラ釣りは1日に数千回のキャストを行うため、重い竿では腕が疲れてしまいます。カーボン製の軽量な竿を選ぶことをおすすめします。
ラインとハリスの組み合わせ
ラインはテンカラ専用のレベルラインを使用します。一般的なテーパーラインとは異なり、太さが均一になっているのが特徴です。太さは3.5号前後が標準的で、これより太いと毛バリが飛ばなくなってしまいます。
長さは竿と同じ長さにするのが基本です。3.6mの竿なら3.6mのラインを結束します。材質はフロロカーボンが一般的で、水に沈みやすく風の影響を受けにくいという利点があります。
ハリスはラインより細い糸を使用し、フロロカーボンの0.8〜1.0号程度が適切です。長さは1m前後が目安で、あまり長すぎると風の影響を受けやすくなります。短すぎると魚に警戒されやすくなるため、バランスが重要です。
ラインとハリスの結束は確実に行う必要があります。結び方を間違えると、せっかくかかった魚を逃してしまうことになります。基本的な結び方をしっかりと覚えておきましょう。
テンカラの釣り方と基本テクニック
テンカラ釣りの基本は、毛バリをポイントに投げて自然に流すことです。しかし、この単純に見える動作の中には、多くのコツが隠されています。
キャスティングの基本
テンカラ釣りのキャスティングは、フライフィッシングとは大きく異なります。フライフィッシングが空中でラインを何度も往復させるのに対し、テンカラは基本的にワンキャストで毛バリを飛ばします。
キャストの基本動作は、竿を後ろに振り上げてから前に振り下ろすという単純なものです。重要なのは、ラインの重みを感じながら竿を振ることです。軽い毛バリはラインの重みでポイントへ運ばれるため、ラインをしっかりと伸ばすことが重要になります。
1日に1500〜2000回はキャストを繰り返すことになるため、無駄な力を入れずに効率的な動作を心がけましょう。最初のうちは思うようにいかないかもしれませんが、練習を重ねることで必ず上達します。
キャストで最も大切なのは、狙ったポイントに正確に毛バリを落とすことです。魚は警戒心が強いため、毛バリが魚の近くに落ちなければ興味を示しません。まずは近い距離から練習を始めて、徐々に遠くのポイントも狙えるようになりましょう。
毛バリを流すコツ
毛バリが着水したら、自然な流れに任せて数秒間流します。この時、人工的な動きを与えてはいけません。毛バリは水面を流れる昆虫や、水中に落下した虫を模しているため、自然な動きが重要です。
流す時間の目安は3秒程度です。あまり長く流しすぎると、毛バリが不自然な動きをしてしまう可能性があります。短時間で効率よく多くのポイントを探っていくのがテンカラ釣りの特徴です。
流し方にはいくつかのパターンがあります。最も基本的なのは、毛バリを上流に向かって投げて下流に流す「アップストリーム」です。魚の後ろから毛バリを流すため、魚に気づかれにくいという利点があります。
水深の深い場所では、毛バリを少し沈めて流すことも効果的です。この場合は水中の昆虫や小魚を模すことになるため、やや違った動きが求められます。
アタリとアワセのタイミング
魚のアタリは、ラインの動きや竿先の変化で感じ取ります。テンカラ釣りのアタリは比較的分かりやすく、ラインが引っ張られたり、竿先に重みを感じたりします。
アタリを感じたら、素早くアワセを入れる必要があります。毛バリは虫を模した疑似エサのため、魚は本物のエサではないことにすぐに気づいてしまいます。違和感を与える前に、確実にフックアップすることが重要です。
アワセは竿を立てるように行います。あまり強すぎると細いハリスが切れてしまうため、適度な強さで行うことが大切です。魚がかかったら、竿の弾力を活かして慎重にやり取りを行います。
アタリがあっても必ずしも魚がかかるとは限りません。魚が毛バリを咥えても、すぐに吐き出してしまうこともあります。このような時は、同じポイントに再度毛バリを投入してみましょう。
初心者におすすめのスターターセット
テンカラ釣りを始めるなら、まずは信頼できるメーカーのスターターセットから始めることをおすすめします。必要な道具が一式揃っているため、すぐに釣りを始めることができます。
ダイワ テンカラキット 33
ダイワのテンカラキット 33は、初心者に最もおすすめできるスターターセットの一つです。竿、毛針、ライン、ハリス、専用ケースがセットになっており、届いたその日から釣りを始めることができます。
このキットの特徴は、投げやすさを重視したフライラインタイプを採用していることです。一般的なレベルラインよりもやや太くなっているため、風の強い日でもキャストしやすくなっています。初心者にとっては非常にありがたい配慮と言えるでしょう。
付属する毛針は3種類で、様々な状況に対応できるようになっています。明るい色から暗い色まで揃っているため、その日の天候や水の状況に合わせて使い分けることができます。
竿は3.3mと使いやすい長さで、軽量で疲れにくい設計になっています。初心者でも扱いやすく、長時間の釣りでも負担になりません。専用ケースも付属しているため、持ち運びや保管にも便利です。
シマノ テンカラBB キット 33
シマノのテンカラBB キット 33は、品質と使いやすさのバランスが優れたスターターセットです。糸を結べばすぐに釣りができるよう、必要な道具が一式揃っています。
このキットの大きな特徴は、固着防止対策がしっかりと施されていることです。継ぎ目のトラブルが軽減されているため、釣り場でのストレスが少なくなります。初心者にありがちな「竿が抜けない」というトラブルを避けることができます。
竿はしなやかで投げやすく、初心者でも無理なくキャストできます。適度な弾力があるため、魚とのやり取りも楽しめます。全体的に軽量で、女性や子供でも扱いやすい設計になっています。
付属のラインとハリスも初心者向けにバランスよく設定されており、そのまま使っても十分な性能を発揮します。まずはこのセットで基本を覚えて、慣れてきたら自分好みにカスタマイズしていくのがおすすめです。
プロックス グランテンカラセット 300
プロックスのグランテンカラセット 300は、コストパフォーマンスに優れたスターターセットです。竿、レベルライン、ハリス、毛針がセットになっており、予算を抑えて始めたい方に適しています。
このセットの特徴は、竿の穂先が回転トップ仕様になっていることです。仕掛け絡みが少なくなるため、初心者によくあるライントラブルを軽減できます。ストレスの少ない釣りを楽しむことができるでしょう。
竿ケースと毛針ケースも付属しており、持ち運びに便利です。特に毛針ケースは複数の毛針を整理して保管できるため、釣り場での毛針交換もスムーズに行えます。
3.0mという長さは、源流域から渓流域まで幅広く対応できる汎用性の高いサイズです。初心者が最初に持つ竿としては、非常にバランスの取れた長さと言えるでしょう。
価格も手頃で、テンカラ釣りを試してみたいという方にはぴったりのセットです。まずはこのセットで釣りの楽しさを体験して、より本格的な道具を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
テンカラ釣りは、竿、ライン、ハリス、毛バリという4つの道具だけで楽しめる、日本伝統の渓流釣りです。道具がシンプルで覚えることが少ないため、初心者でも始めやすいのが最大の魅力と言えるでしょう。
専用のスターターセットを使えば、届いたその日から釣りを開始することができます。ダイワ、シマノ、プロックスなど、信頼できるメーカーから様々なセットが発売されているため、予算や好みに合わせて選ぶことができます。
源流域から渓流域という美しい自然環境の中で、ヤマメやイワナといった渓流魚との出会いを楽しめるのもテンカラ釣りの魅力です。管理釣り場なら安全に釣りを楽しむことができるため、家族連れにもおすすめできます。
基本的な技術は「投げて流す」だけとシンプルですが、その奥は深く、長く楽しめる釣りです。まずは近くの管理釣り場や渓流域で、テンカラ釣りの魅力を体験してみてください。きっと新しい釣りの世界が広がることでしょう。
