ヒラメ釣りで最も大切なのが餌選びです。どんなに良いポイントで釣りをしても、餌が悪ければヒラメは釣れません。活きの良い餌を選んで、正しい付け方をマスターすれば、釣果は格段にアップします。
この記事では、ヒラメ釣りで実績の高い餌の種類から、鼻掛けやアゴ掛けといった基本的な付け方まで詳しく解説します。季節や釣り場に合わせた餌の使い分けや保存方法、入手方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ヒラメ釣りに効果的な基本の餌
ヒラメは肉食魚なので、基本的には活き餌を使います。特に小魚系の餌が効果的で、自然な泳ぎでヒラメの食欲を刺激してくれます。餌選びで重要なのは、できるだけ弱らない丈夫な魚を選ぶことです。
弱った餌では本来の泳ぎができず、ヒラメの反応も悪くなってしまいます。活きの良い餌を選んで、正しく付けることがヒラメ釣り成功の第一歩といえるでしょう。
イワシ系の餌で確実に狙う
マイワシは、ヒラメ釣りで最もポピュラーな活餌です。釣具店でも手に入りやすく、初心者から上級者まで多くの人が愛用しています。特に20cmを超える大きなサイズは「大仕掛け」として大型ヒラメ狙いに効果を発揮します。
マイワシの良いところは、比較的丈夫で長時間元気に泳いでくれることです。価格も手頃で、コストパフォーマンスに優れています。船釣りでも陸っぱりでも使いやすい万能な餌といえるでしょう。
カタクチイワシは食い込みが良いのが特徴です。12~13cmの小型サイズが一本針仕掛けに最適で、ソゲ(小型のヒラメ)から中型まで幅広く狙えます。関東エリアでは特に人気が高い餌で、多くの釣り人が愛用しています。
小型魚で手軽に狙う
シロギスは水温変化に敏感ですが、非常に強い魚です。夏場の浅瀬では「夏ビラメ」狙いに特に効果を発揮します。針はタンデム仕掛けでも使用でき、比較的長時間元気に泳いでくれます。
シロギスの良いところは、砂地を好むヒラメの生息域とマッチしていることです。自然な環境でヒラメが普段食べている魚なので、警戒心を抱かせずに食わせることができます。サイズは8~12cm程度が使いやすく、針掛かりも良好です。
マハゼは比較的強い餌のため、陸っぱりからの投げ釣りや置き竿釣りでよく使われます。身が柔らかいのでソゲやキロ級ヒラメの食いが抜群に良く、多くの釣り人に愛用されています。関東では江戸川放水路や涸沼のマハゼが有名で、秋から冬にかけて大活躍します。
その他の特殊な餌
マアジは口が弱いため2~3回の投入が限度ですが、上顎に上手に刺すとイワシより元気よく海底で泳ぎます。アジ特有の青い背中がヒラメにとって魅力的で、時として驚くような大型が釣れることもあります。
サッパは茨城県で鱗の持ちが良いとされ、砂浜や堤防からの陸っぱりヒラメ釣りに人気です。比較的安価で手に入るのも魅力の一つで、初心者にもおすすめの餌です。サイズは10~15cm程度が扱いやすく、針掛かりも良好です。
深場のカサゴは赤味が目立つので、大型寒ビラメ釣りの「特餌」として使われます。普通の餌では反応しない大型ヒラメが、カサゴには反応することがあるため、ここぞという時の切り札的な存在です。価格は高めですが、その分効果も期待できます。
効果的な餌の付け方を覚える
餌の付け方次第で、餌の持ちや泳ぎ方が大きく変わります。正しい付け方をマスターすることで、餌を長時間元気に泳がせることができ、釣果アップにつながります。基本的な付け方をしっかり覚えて、状況に応じて使い分けましょう。
付け方には大きく分けて3つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、釣り場の状況や餌の種類に応じて選択することが重要です。
鼻掛けの付け方とメリット
鼻掛けは鼻の穴に針を通す掛け方で、最も餌が長持ちする方法です。口を自由に動かせるので餌が呼吸しやすく、口掛けよりも断然弱りにくいのが特徴です。置き竿での釣りや長時間同じポイントを攻める時に最適な方法といえます。
イワシの鼻掛けでは、鼻の穴を横から貫通させる付け方が一般的です。親指の腹で鼻カンのバネの隙間を空け、イワシの鼻の穴に鼻カンを通します。その後、親鉤を固定するため鉤先を背びれの前に軽く刺すのがコツです。
鼻掛けのメリットは餌の持ちが良いことです。上手に付ければ2~3時間は元気に泳いでくれます。デメリットは慣れるまで時間がかかることですが、一度覚えてしまえば簡単にできるようになります。
アゴ掛けの基本テクニック
アゴ掛け(口掛け)は下アゴから上アゴに針を貫通させる方法です。付けやすくて外れにくいのが最大のメリットですが、やや弱りやすいことが難点です。頻繁に餌を交換できる状況におすすめの掛け方で、初心者にも覚えやすい方法です。
上アゴ掛けでは、イワシのセンターに針先を抜くことが重要です。これにより餌が回ってしまうのを防ぐことができ、自然な泳ぎを維持できます。針が曲がっていると餌が横向きになってしまうので注意が必要です。
アゴ掛けは短時間の釣りに適しています。餌の弱りが早いので、こまめにチェックして元気がなくなったら交換することが大切です。特に夏場は水温が高いため、より頻繁な交換が必要になります。
孫針の使い分け
親針は鼻掛けかアゴ刺し、孫針は腹掛けか背掛けが一般的な付け方です。基本は親針を鼻掛け、孫針を腹掛けにする人が多く、この組み合わせが最もバランスが良いとされています。餌のサイズや種類に応じて、孫針の位置を調整することが重要です。
シロギスの場合は肛門を通すようにして孫針を刺します。ただし、孫針がトリプルフックの場合は身が弱ってしまうので、あえて掛けない選択肢もあります。餌の状態を見ながら判断することが重要です。
孫針の役割は、ヒラメがバイトした時の掛かりを良くすることです。親針だけでは外れやすい場合でも、孫針があることでヒラメをしっかりとキャッチできます。特に大型狙いの時は孫針が威力を発揮するので、必ず付けるようにしましょう。
餌の鮮度を保つ保存方法
活き餌の保存方法を間違えると、釣り場に着く前に餌が弱ってしまいます。正しい保存方法を覚えることで、釣り場でも元気な餌を使い続けることができ、釣果アップにつながります。
餌の種類によって適した保存方法が異なります。また、季節や気温によっても保存のコツが変わってくるので、状況に応じて対応することが大切です。
活き餌の保管テクニック
活き餌の保管で最も重要なのは水温管理です。急激な水温変化は餌にとって大きなストレスになり、すぐに弱ってしまう原因となります。釣具店から持ち帰る際は、できるだけ水温を一定に保つよう心がけましょう。
酸素不足も餌が弱る大きな原因です。長時間の保存では必ずエアレーションを使用し、十分な酸素を供給する必要があります。バッテリー式のエアポンプがあれば、車内でも簡単に酸素供給ができます。
イワシ系の餌は特にデリケートなので、取り扱いには注意が必要です。網で掬う時は優しく扱い、餌同士がぶつからないよう気をつけましょう。傷がついた餌はすぐに弱ってしまうので、丁寧な取り扱いが重要です。
餌用クーラーボックスの使い方
餌専用のクーラーボックスを用意することで、より確実に餌の鮮度を保てます。魚用のクーラーとは別にすることで、餌への影響を最小限に抑えることができます。サイズは20~30リットル程度が使いやすく、持ち運びにも便利です。
クーラーボックス内の水は海水を使用します。淡水では餌が弱ってしまうので注意が必要です。水量は餌の量に応じて調整し、多すぎず少なすぎないバランスを保ちましょう。目安として、餌が泳げる程度の水深を確保します。
氷を入れる場合は直接入れず、ペットボトルに水を入れて凍らせたものを使用します。直接氷を入れると水温が下がりすぎて、餌にとってストレスになってしまいます。夏場は特に水温管理が重要になるので、しっかりと対策しましょう。
現場での餌の管理方法
釣り場での餌管理は釣果に直結します。常に餌の状態をチェックし、元気がなくなった餌は早めに交換することが大切です。弱った餌を使い続けても、ヒラメの反応は期待できません。
日陰に餌入れを置くことで、水温の上昇を防げます。直射日光は餌にとって大敵なので、パラソルやテントを活用して日陰を作りましょう。風通しの良い場所を選ぶことも、餌の鮮度保持に効果的です。
釣り場でのエアレーションも重要です。バッテリー式のエアポンプがあれば、長時間の釣行でも餌を元気に保てます。予備のバッテリーも用意しておくと安心です。また、餌を取り出す際は網を使い、手で触らないよう注意しましょう。
ヒラメが好む餌のサイズ選び
ヒラメの大きさに合わせて餌のサイズを選ぶことで、釣果は大幅にアップします。大型ヒラメに小さな餌では食いつきが悪く、逆に小型ヒラメに大きすぎる餌では口に入りません。ターゲットサイズを明確にして、適切な餌選びをしましょう。
一般的に、ヒラメは自分の口のサイズの3分の1程度の餌を好む傾向があります。この法則を覚えておくと、現場での餌選びがスムーズになります。
ソゲ狙いの小型餌
ソゲ(30cm未満の小型ヒラメ)狙いでは、8~12cm程度の小型餌が効果的です。カタクチイワシやシロギス、小型のマハゼがおすすめです。小さな餌でも活きが良ければ十分にアピールできます。
ソゲは警戒心が薄く、比較的簡単に釣ることができます。餌のサイズよりも活きの良さを重視し、元気に泳ぐ餌を選ぶことが重要です。針も小さめのものを使用し、餌への負担を最小限に抑えましょう。
小型餌の注意点は、大型ヒラメには物足りないことです。ソゲ専門で狙う場合は問題ありませんが、大型も期待したい場合は中型餌との使い分けが必要になります。
キロ級狙いの中型餌
キロ級(1kg前後)のヒラメを狙う場合は、12~18cm程度の中型餌が適しています。マイワシやウルメイワシの中型サイズ、大きめのマハゼやマアジが効果的です。このサイズが最も汎用性が高く、初心者にもおすすめです。
中型餌のメリットは、ソゲから大型まで幅広いサイズのヒラメに対応できることです。どのサイズが釣れるかわからない状況では、まず中型餌から始めるのが無難でしょう。釣具店でも入手しやすく、価格も手頃です。
キロ級ヒラメは引きも強く、食べ応えもあります。中型餌を使った泳がせ釣りで、じっくりとアタリを待ちましょう。餌の付け方は鼻掛けがおすすめで、長時間元気に泳がせることができます。
大型ヒラメ用の特大餌
大型ヒラメ(2kg以上)を狙う場合は、20cm以上の特大餌が必要です。大型のウルメイワシやマイワシ、カサゴなどが効果的です。餌代は高くなりますが、その分大型ヒラメとの出会いの確率も上がります。
大型餌を使う際は、仕掛けも強めにする必要があります。針も大きめのものを使用し、ハリスも太めにしましょう。大型ヒラメの引きは非常に強く、細い仕掛けでは切られてしまう可能性があります。
特大餌は取り扱いも難しくなります。重量があるため投げにくく、餌付けにも時間がかかります。しかし、大型ヒラメが釣れた時の感動は格別です。経験を積んで、徐々に大型餌にチャレンジしてみましょう。
下記は餌サイズの目安表です。
| ターゲット | 餌サイズ | おすすめ餌 | 針サイズ |
|---|---|---|---|
| ソゲ(30cm未満) | 8-12cm | カタクチイワシ、シロギス | 8-10号 |
| キロ級(1kg前後) | 12-18cm | マイワシ、ウルメイワシ | 10-12号 |
| 大型(2kg以上) | 20cm以上 | 大型ウルメイワシ、カサゴ | 12-14号 |
状況別の餌選びのコツ
釣り場の状況や季節に応じて餌を使い分けることで、釣果は大幅にアップします。同じポイントでも、時期や条件によって効果的な餌は変わってくるものです。経験豊富な釣り人ほど、状況に応じた餌選びが上手です。
一つの餌にこだわらず、複数の選択肢を用意しておくことが成功の秘訣といえるでしょう。現場の状況を見極めて、最適な餌を選択する能力を身につけましょう。
季節と水深による選択
夏場の浅瀬では、カタクチイワシやシロギスが特に効果的です。水温が高い時期はこれらの餌が元気よく泳いでくれて、ソゲやキロ級までの若いヒラメによく効きます。浅場は餌の動きも見えやすく、初心者にもおすすめの条件です。
逆に冬場の深場では、ウルメイワシやマイワシの大型サイズが威力を発揮します。寒ビラメと呼ばれる冬の大型ヒラメは、大きな餌を好む傾向があります。水温が低い時期は餌の持ちも良くなるので、大型餌を使いやすい季節です。
春と秋は中間的な条件になります。水温も適度で餌の種類も豊富に選べる時期です。様々な餌を試してみて、その日の当たり餌を見つけることが釣果アップのコツです。
場所に応じた餌使い分け
関東エリアでは江戸川放水路や涸沼のマハゼが有名で、比較的強い餌なので陸っぱりからの投げ釣りに適しています。地域によって入手しやすい餌が異なるので、現地の釣具店で相談するのが一番です。地元の釣り人の情報も参考になります。
東北エリアのヒラメ釣りではカタクチイワシが主流です。北海道や東北では、チカも効果的な餌として使われています。地域の特性を活かした餌選びが重要といえるでしょう。現地の釣り方や仕掛けも一緒に覚えることをおすすめします。
茨城県ではサッパの鱗持ちが良いとされ、砂浜からの投げ釣りで人気があります。このように、各地域で定評のある餌を使うことで、地元の釣り人と同じ土俵で勝負できます。旅先での釣りでは、現地情報の収集が重要です。
釣り方による餌の違い
泳がせ釣りでは活き餌が基本ですが、ヒラメが潜むポイントへ餌を落とし込み、基本のタナまで巻き上げて泳がせます。一般的には底から1~2m前後を狙い、時にはゆっくりとリールを巻いていくのも良い誘いとなります。
置き竿での釣りでは、できるだけ長時間元気な餌を選ぶことが重要です。鼻掛けにしたマハゼやシロギスが定番で、数時間は元気に泳いでくれます。複数の竿を出す場合は、餌の種類を変えて反応を見るのも効果的です。
船釣りと陸っぱりでも餌の選択は変わります。船釣りでは新鮮な活き餌が豊富に用意できますが、陸っぱりでは保存の利く強い餌を選ぶ必要があります。釣り方に応じた餌選びを心がけましょう。
餌の入手方法と価格相場
良い餌を安定して入手することは、ヒラメ釣り成功の重要な要素です。餌の入手方法を複数確保しておくことで、急な釣行でも対応できます。価格相場を把握して、コストパフォーマンスの良い餌選びをしましょう。
餌代は釣行費用の大きな部分を占めます。上手に入手することで、釣り費用を抑えながら良い餌を確保できます。
釣具店での購入方法
釣具店での餌購入は最も確実な方法です。事前に電話で確認しておくと、確実に欲しい餌を確保できます。人気の餌は売り切れることもあるので、早めの予約がおすすめです。店員さんに相談すれば、その日の状況に適した餌を教えてもらえます。
活き餌の価格相場は以下のようになっています。地域や季節によって多少の変動がありますが、大体の目安として参考にしてください。
- マイワシ:1匹150~300円
- カタクチイワシ:1匹100~200円
- ウルメイワシ:1匹200~400円
- シロギス:1匹100~150円
- マハゼ:1匹80~120円
釣具店では餌の保存方法も教えてもらえます。初心者の方は遠慮せずに質問しましょう。正しい保存方法を覚えることで、餌を長持ちさせることができます。
自分で採取する方法
餌を自分で採取することで、コストを大幅に削減できます。シロギスやマハゼは比較的簡単に釣ることができ、自分で餌を確保する楽しみもあります。採取した餌は活きが良く、市販の餌よりも効果的な場合があります。
シロギスの採取は夏場の砂浜で行います。投げ釣りで簡単に釣ることができ、そのまま餌として使用できます。サイズは8~12cm程度が適しており、針掛かりも良好です。
マハゼの採取は秋から冬にかけてがシーズンです。河川の河口部や内湾で釣ることができます。比較的強い魚なので、餌として長時間使用できるのが魅力です。
注意点として、採取場所によっては禁漁区域がある場合があります。事前に確認してから採取を行いましょう。また、採取した餌の保存方法も重要なので、適切な設備を用意する必要があります。
コストを抑える工夫
餌代を抑える工夫はいくつかあります。まず、釣り仲間と共同購入することで、一匹あたりの単価を下げることができます。特に大型餌は高価なので、シェアするメリットが大きいです。
釣行回数を増やす場合は、餌のまとめ買いが効果的です。冷凍保存できる餌もあるので、釣具店に相談してみましょう。ただし、冷凍餌は活き餌に比べて効果が劣る場合があります。
餌の無駄を減らすことも重要です。適切な保存方法を実践し、餌を長持ちさせましょう。また、その日の状況に応じて餌の種類を変える柔軟性も大切です。高価な餌を使っても釣れなければ意味がありません。
下記はコスト削減のための工夫をまとめました。
- 釣り仲間との共同購入
- まとめ買いによる単価削減
- 自分での餌採取
- 適切な保存による無駄の削減
- 状況に応じた餌の使い分け
まとめ
ヒラメ釣りの成功は餌選びと付け方で大きく左右されます。イワシ系を中心とした活き餌が最も効果的で、中でもマイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシは実績抜群です。餌のサイズはターゲットに合わせて選び、適切な保存方法で鮮度を保つことが重要です。
付け方では、鼻掛けが餌の持ちが良く長時間の釣りに適しています。アゴ掛けは付けやすさが魅力で、頻繁に餌交換ができる状況で威力を発揮します。孫針との組み合わせで、より確実にヒラメをキャッチできるでしょう。
まずは基本のマイワシと鼻掛けをマスターして、徐々にレパートリーを増やしていくのがおすすめです。季節や場所、釣り方に応じた使い分けができるようになれば、釣果は格段にアップするはずです。次回のヒラメ釣りでは、この記事を参考に餌選びから始めて、理想の一匹を狙ってみてください。
