英語配列キーボードはやめとけ?使いづらくて後悔する人が多い理由

「英語配列キーボードってかっこいいし、プログラミングにも良さそう」そんな憧れを抱いて購入を検討する人は多いでしょう。確かにスタイリッシュな見た目と合理的な記号配置は魅力的です。

しかし実際に使い始めてから「やっぱり日本語配列にすればよかった…」と後悔する声も少なくありません。なぜ多くの人が英語配列キーボードで挫折してしまうのでしょうか。

この記事では、英語配列キーボードが使いづらいと感じる具体的な理由を5つのポイントで詳しく解説します。購入前に知っておくべきデメリットを理解して、自分に本当に合った選択ができるようになりますよ。

目次

1. タイピング初期にミスしやすくて作業効率が落ちる

英語配列キーボードに切り替えた直後は、今まで慣れ親しんだ日本語配列との違いで驚くほどタイプミスが増えます。特に重要なキーの形状や配置が大きく異なるため、感覚的なタイピングができなくなってしまうのです。

Enterキーの形状で打ち間違いが頻発する

日本語配列のEnterキーは縦に長く、面積も大きな逆L字型になっています。一方、英語配列のEnterキーは横に長い長方形で、高さが半分程度しかありません。

この違いにより、いつもの感覚でEnterキーを押そうとすると上の記号キー(¥や]など)を押してしまうことが頻発します。文章入力中に改行したいタイミングでこの誤操作が起きると、意図しない記号が入力されて文章が台無しになってしまいます。

慣れるまでの1〜2ヶ月間は、この誤操作によって作業効率が大幅に低下することを覚悟しなければなりません。

Backspaceキーの誤打で文字削除トラブル

英語配列では、Backspaceキーの左隣に記号キー(=や+など)があります。日本語配列に慣れていると、右手小指でBackspaceを押すつもりが隣の記号キーを押してしまうミスが非常に多くなります。

特に長文を入力している際にこのミスが起きると、意図しない文字が追加されて文章の流れが崩れてしまいます。さらに、正しくBackspaceキーを押そうとして何度も押し直すうちに、必要な文字まで削除してしまうトラブルも起きがちです。

このような細かいストレスが積み重なると、集中力を保ちにくくなり、結果的に作業全体のパフォーマンスが下がってしまいます。

記号入力で右手小指に負担が集中する

プログラミングでよく使う記号類(パイプ|、括弧類、クォートなど)が、英語配列では右手小指の担当範囲に集中しています。特にパイプ(|)は右上の遠い位置にあるため、届きにくく押しにくい配置になっています。

長時間のコーディング作業では、この右手小指への負担集中が疲労や違和感の原因となります。左右の手のバランスが悪くなり、右手だけが先に疲れてしまう現象も起きやすくなります。

日本語配列では記号が左右により分散されているため、このような偏った負担は起きにくいのです。

2. 日本語入力の切り替えが面倒で効率が下がる

日本語と英語を頻繁に切り替える環境では、IME(日本語入力システム)の操作方法の違いが大きなストレス源となります。日本語配列では簡単だった操作が、英語配列では複雑になってしまうのです。

IMEの切り替えキーが遠い位置にある

日本語配列キーボードには「半角/全角」キーがあり、これ一つで日本語入力のオン・オフを簡単に切り替えできます。左手の小指で軽く押すだけで済むため、タイピングのリズムを崩すことがありません。

しかし英語配列では半角/全角キーが存在しないため、代替手段として「Alt + `(バッククォート)」や「左右のAltキー」などを使う必要があります。これらのキーはホームポジションから離れており、2つのキーを同時押ししなければならないため操作が煩雑です。

特にAlt + `の組み合わせは、左手が大きく移動するため、タイピングの流れが完全に止まってしまいます。この数秒のロスが積み重なると、1日の作業効率に大きな差が生まれてしまうのです。

かな入力ユーザーには完全に不向き

日本語入力方法として「かな入力」を使っている人にとって、英語配列キーボードは実質的に使用不可能といえます。なぜなら、英語配列のキーにはひらがなの刻印が一切ないからです。

ローマ字入力でも記号の位置を覚え直す必要がありますが、かな入力の場合はキー配置そのものが完全に変わってしまいます。50音すべての位置を暗記でタイピングしなければならず、現実的ではありません。

また、濁点や句読点などの日本語特有の記号も位置が変わるため、文章入力全般で支障をきたします。かな入力に慣れている人は、英語配列を選ぶべきではないでしょう。

ショートカットキーとIME切り替えが競合する

プログラミング環境では、多くのエディタやIDEが独自のショートカットキーを持っています。例えば、Visual Studio CodeやEclipseでは「Ctrl + Space」がコード補完機能に割り当てられています。

しかし、IMEの切り替えキーとして「Ctrl + Space」を設定すると、これらのショートカットキーと競合してしまいます。プログラムを書いている最中にコード補完を呼び出そうとして、意図せずIMEが切り替わってしまうトラブルが頻発します。

この競合を避けるために別のキー組み合わせを設定しても、今度は他の機能と競合したり、覚えにくい組み合わせになったりと、満足のいく解決策が見つからないケースが多いのです。

3. 環境が混在すると二重に覚える必要がある

現代の働き方では、自宅と職場、個人用と会社用など、複数の環境でキーボードを使い分けることが一般的です。この環境の違いが、英語配列キーボード使用者にとって大きな負担となります。

職場や学校では日本語配列が標準的

日本の一般的な職場や学校では、圧倒的に日本語配列キーボードが採用されています。企業の標準PCや学校のコンピューター室では、ほぼ100%日本語配列と考えて間違いありません。

自宅で英語配列に慣れていても、職場では日本語配列を使わざるを得ない状況になります。すると、配列の違いによる癖が出てタイプミスが増え、どちらの配列でも効率的にタイピングできない中途半端な状態に陥ってしまいます。

特に、一日の大部分を職場で過ごす人の場合、自宅で英語配列を使う時間が限られるため、なかなか慣れることができません。結果として、どちらの配列でも満足にタイピングできない期間が長く続いてしまうのです。

MacとWindowsで設定方法が異なる

英語配列キーボードでの日本語入力設定は、MacとWindowsで大きく異なります。Macでは比較的設定が簡単ですが、Windowsでは複雑な手順を踏む必要があります。

WindowsでIMEの切り替えキーを変更する場合、レジストリを編集したり、サードパーティ製のツールを使ったりする必要があることもあります。しかも、Windowsのバージョンによって設定方法が変わることもあり、アップデート後に設定し直さなければならない場合もあります。

複数のOSを使い分ける環境では、それぞれに適した設定方法を覚え、メンテナンスし続ける必要があります。この学習コストとメンテナンス負担は決して軽いものではありません。

ノートパソコンでは英語配列の選択肢が限られる

日本市場向けのノートパソコンでは、英語配列モデルの選択肢が非常に限られています。多くのメーカーでは日本語配列のみの展開となっており、英語配列を選べるのは一部の高価格帯モデルや特定のメーカーに限られます。

例えば、10万円以下の予算で英語配列のノートパソコンを探そうとすると、選択肢がほとんどありません。結果として、本来欲しいスペックや価格帯ではなく、「英語配列だから」という理由で妥協した選択をしなければならないケースが多くなります。

また、故障時の修理や保証対応においても、英語配列モデルは標準的な日本語配列モデルと比べて時間がかかったり、部品の取り寄せが必要になったりすることがあります。

4. 記号の配置が覚えにくくて混乱しやすい

プログラミングや文書作成で頻繁に使う記号類の配置が、英語配列では日本語配列と大きく異なります。この違いを覚え直すのは想像以上に困難で、多くの人が挫折する原因となっています。

コロンやセミコロンの位置が直感的でない

プログラミングで重要な記号の配置変更

プログラミングで頻繁に使うコロン(:)とセミコロン(;)の入力方法が、日本語配列と英語配列では大きく異なります。日本語配列ではコロンは「Shift + ;」で入力できますが、英語配列では「Shift + ;」でコロンを入力するため、感覚が逆転してしまいます。

さらに、日本語配列では「;」が単体キーで入力できるのに対し、英語配列では右手小指を使う必要があります。この小さな違いが、長時間のコーディング作業では大きなストレスとなります。

慣れるまでの期間が想像以上に長い

多くの人が「数日で慣れるだろう」と考えがちですが、実際には1〜3ヶ月程度の期間が必要になることが多いです。特に、無意識レベルでタイピングできるようになるまでには、相当な練習時間を要します。

その間はタイピング速度が大幅に低下し、仕事や勉強の効率が著しく悪くなってしまいます。この期間中のストレスに耐えきれず、日本語配列に戻してしまう人が非常に多いのです。

クォート記号が遠い位置にある

ダブルクォートの入力が不便

英語配列では、ダブルクォート(”)が数字の「2」キーにあるため、「Shift + 2」で入力します。しかし、この位置は左手の人差し指で押さなければならず、ホームポジションから大きく離れています。

プログラミング中に文字列を囲む際や、HTMLでclass属性を記述する際など、ダブルクォートは頻繁に使用します。その度に左手が大きく移動するため、タイピングのリズムが崩れ、効率が大幅に低下してしまいます。

シングルクォートも操作しにくい位置

シングルクォート(’)は右手の小指で押すEnterキー近くにありますが、この位置も慣れるまでは非常に押しにくく感じます。JavaScriptや文字列処理でシングルクォートを多用する場合、右手首をひねるような不自然な動作が必要になります。

この不自然な動作を繰り返すことで、手首や小指に疲労が蓄積しやすくなります。長時間の作業では、明らかに疲れやすくなることを実感するでしょう。

数字キーとの組み合わせが複雑

アットマークの入力で混乱

日本語配列では「@」は「Shift + 2」で入力しますが、英語配列では「Shift + 2」で「”」が入力されます。「@」を入力するには「Shift + @」を押す必要がありますが、この「@」キーの位置が分からなくて困惑することがよくあります。

メールアドレスの入力頻度を考えると、この違いは日常的にストレスを感じる原因となります。慣れるまでの間は、@マークを入力する度に一瞬手が止まってしまうでしょう。

チルダや数字記号の配置

チルダ(~)は日本語配列では「Shift + ^」で入力しますが、英語配列では「Shift + 」で入力します。このバッククォート()キーの位置も初見では分からず、探し回ることになります。

また、#(ハッシュ)や%(パーセント)なども位置が変わるため、SNSの投稿やドキュメント作成時に手間取ることが多くなります。これらの記号を覚え直すだけで、相当な時間と練習が必要になってしまうのです。

5. カスタマイズや買い替えで制約が多くなる

キーボードを長期間使用する上で重要なのが、カスタマイズ性やメンテナンス性です。英語配列キーボードは、日本市場では少数派のため、様々な面で制約を受けることになります。

キーキャップの選択肢が日本では少ない

日本語対応キーキャップの入手困難

メカニカルキーボードの楽しみの一つに、キーキャップの交換によるカスタマイズがあります。しかし、日本の市場では英語配列用のキーキャップセットの選択肢が非常に限られています。

特に、日本語入力との兼ね合いを考慮したキーキャップセット(ひらがな刻印ありなど)は、ほとんど流通していません。海外から取り寄せる場合も、送料や関税を含めると高額になってしまいます。

カスタム性の制限

日本語配列用のキーキャップは豊富にありますが、英語配列との互換性がない場合が多いです。特にEnterキーやスペースキーなどの大型キーは形状が異なるため、流用できません。

結果として、カスタマイズを楽しみたい人にとっては、英語配列キーボードは選択肢の幅を狭めてしまう要因となってしまいます。

中古市場での流通量が限定的

買い替え時の選択肢不足

キーボードを買い替える際、中古市場を検討する人も多いでしょう。しかし、日本の中古市場では英語配列キーボードの流通量が圧倒的に少ないのが現実です。

メルカリやヤフオクなどで英語配列キーボードを検索しても、日本語配列の1/10以下の出品数しかありません。選択肢が少ないため、価格も高めに設定されることが多く、コストパフォーマンスの面でも不利になりがちです。

急な故障時の代替手段

キーボードが突然故障した場合、すぐに同じ配列の代替品を入手するのが困難です。家電量販店の店頭では英語配列キーボードの在庫がないことが多く、オンラインでの注文を待つ間は作業に支障をきたしてしまいます。

緊急時に日本語配列キーボードで代用することになりますが、慣れていないと非常に効率が悪くなってしまいます。

修理やサポートで不便を感じる

メーカーサポートの制限

国内メーカーのキーボードでも、英語配列モデルは特注扱いや限定モデル扱いになることが多いです。そのため、修理が必要になった場合の対応時間が長くなったり、修理自体を断られたりするケースがあります。

保証期間内であっても、修理用の部品(特にキーキャップなど)の取り寄せに時間がかかることがあります。業務でキーボードを使用している場合、この修理期間中は作業効率が大幅に低下してしまいます。

技術サポートの対応差

日本語入力関連のトラブルが発生した場合、サポート担当者も英語配列での設定方法に詳しくないことがあります。一般的な日本語配列での解決方法は分かっても、英語配列特有の設定については「分からない」と言われてしまうこともあります。

結果として、トラブル解決により多くの時間を費やすことになり、ストレスも蓄積してしまいます。

まとめ

英語配列キーボードは確かに記号の配置が合理的で、見た目もスタイリッシュな魅力があります。しかし、日本語環境での実用性を重視するなら、多くの人が後悔する理由も十分に理解できるでしょう。

特に重要なのは、既にJIS配列でタイピングができる人にとって、移行時のタイプミス増加や学習コストは決して小さくないということです。職場環境との互換性、カスタマイズの制約、サポート面での不便さなど、日常使いでの課題が数多く存在します。

英語配列キーボードを検討する際は、憧れや見た目だけでなく、あなたの実際の使用環境を冷静に分析してみてください。日本語入力の頻度、職場での使用状況、メンテナンス性の重要度など、総合的に判断することが後悔しない選択につながります。

もし迷っているなら、まずは安価な英語配列キーボードで数週間試してみることをおすすめします。実際に体験してから判断すれば、自分にとって本当に必要かどうかが明確になりますよ。

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